「今はどんなふうに見えてますか?醜いですか?それはそっか」 「どうかりんごを投げつけないで」 「甘い言葉も笑顔も通じない 走り出したらもう獣だ」 「ニンゲン様なりきってる亡霊」 「尻尾を引き摺りゆけ」 各フレーズがグレゴール・ザムザを表してる気がして色々とすごすぎる
大元のテーマはカフカの「変身」だけど、「走り出したらもう獣だ」とか「月の真下をうろつきながら」あたりは山月記っぽくて、文学作品の要素が散りばめられていて大好きです。
小説の主人公の名前は「グレーゴル・ザムザ」で、虫になった彼からすると名前はザムザではなくグレーゴルの方なんだけどタイトルにあえてザムザの方を取っているのは虫になった主人公だけじゃなくて変身した息子を恐れた母、世話をしていたが最後には見捨てる妹、林檎を投げつけ殺してしまう父のことも含まれているのかなと思った。だからこの歌は単に変身というだけじゃなくてそれを取り巻く家族をテーマにしてるのかな。 小説ではグレーゴルが林檎を投げつけられ弱り切って死んだあと、残った家族は悲しむでもなく新しい人生のために清々しく進んでいく、というラストでグレーゴルからすると絶望しかないのだけれど、この歌はラストに「現実はもういいなんて言うなよ」と言っていて、それでも絶望しないで生きていこうぜ、と励ましているように聞こえる。(あと小説の書き出しの「何か気がかりな夢から目を覚ますと」との対比にもなってる?) 加えてグレーゴルは家族に疎まれても最後まで家族を愛していたし、虫になる前も家族を支えるためにそして妹を音大に行かせてやるために必死に働いていたのだけど、家族にはそれが全く伝わっていないというのも「ごめんね」以降の歌詞で別に家族を憎んでいるわけではない、むしろ愛しているからこそ苦しんでいるというのが示されている。 作者のカフカは「父への手紙」の中で父親が生活のあらゆることに干渉してくるために絶えず支配されていたということを書いているし、抵抗しようとすると母親にとりなされ全て丸め込まれてしまったとも言っていて、親との確執を抱えていたことがわかるので、書き下ろし先のニーゴのまふゆの環境と似通っていると思った。まふゆは母親との関係が今はメインだけど父親も似たような感じなんだろうか。どちらにせよ、「変身」は自分の大きな変化をきっかけに家族との関係が大きく変わってしまう話だからぴったりのモチーフだと思う。 プラス疑問なんだけど、「変身」に出てくる虫には尻尾は存在しないはずなのに、この曲には尻尾が出てくるのはなぜなんだろう。もしかしたら厄介な虫だと思い込まれているだけで本当は別のものなんじゃないかな?「もう獣だ」と言う歌詞もあるし… 「使い古した自分の名前にあえてキッチュなルビを振って」は親から与えられた「まふゆ」という名前じゃなくて「own」や「雪」を名乗っていたことを指している?「kitsch」はドイツ語で悪趣味、低俗なものという意味。カフカの「変身」はドイツ語で書かれている。 このMVでは蝶の標本がたくさん出てくることから、求められているのは綺麗で動かない蝶だけど、そうでない自分は傷つけられて痛みを感じている。曲の中で延々と繰り返される「ズキズキ」から長い間苦しんでいるのがわかる。 「あとがきで触れられもしない日々 ここで逃げ出したら本当にそうなりそうだ」はここで反抗してアクションを起こさなければ、支配されたままのつまらなくて死んだような日々を送り続けることになってしまう、という想像? 色々書いてみたけど、とにかく曲調がすごくカッコいいし歌詞もものすごく考えられて作られてるんだと分かって何回聴いても楽しい!素晴らしい曲をありがとうございます!
「どうかリンゴを投げつけないで」っていうのは、グレゴール・ザムザ自身が父親にリンゴ投げつけられて死んだのと、自分が熱を出した時に母親がくれたリンゴを大切な思い出にしてるまふゆにとって、その大切な思い出も壊さないで(投げないで)という解釈も取れて好きd(˙꒳˙* ) 【追記】 知らない間に反応あってびっくりしたし嬉しかった。ありがとうございます
マジでこの人にしか書けない曲だな サビがダウナーなのに不屈な感じがあって、反撃に転じたい感情が乗っかっててホント好き
『ごめんね。ちっとも上手に生きてあげられなくて』って「生きられなくて」じゃなくて「生きてあげられなくて」なのが上手く言えないけどめちゃくちゃ好き ⚠︎返信欄に荒らしがいますが絶対に反応しないようお願いします。 既に反応している方や荒らしへの注意等も不要です。
最初の「儲けものさ」と「もう獣だ」の韻の踏み方うますぎてビビった
0:44 のところの『悪夢にどの指立ててやるべきかってね』という歌詞から、 ・親指 悪夢を肯定する ・人差し指 密かに悪夢に肯定する ・中指 悪夢に心の底から否定する ・薬指 悪夢に一生をかけて肯定する ・小指 悪夢に約束を持ちかけて肯定する という5つの意味を考察できたが、否定する指がひとつしかないから、悩んだと感じた
1:03 「口論・討論をする人」という意味のラングラーを「怒れる人」と表すのかっこよすぎる…
『悪夢にどの指立ててやるべきかってね』って歌詞がとてつもなく好き 人によっては親指かもしれないし、中指かもしれないし
0:24 “ザムザ”と書いて“夢”と読めるの洒落てて好き
数々の歌詞予想の全てが間違ってるとは… 魂辛辛、Lock up、変われ、 などなど… てにをはさんの言葉遊び力が凄すぎる…
「命辛辛」じゃなくて「魂辛辛」なのが、更にズキズキと深い痛みを与える様に感じられて、格好良い。
「尻尾を引き摺りゆく」から「ザザザザ ザムザ」に繋がるの、ザの間に「ッ」が入ってる感じの歌い方も含めて物を引き摺ってる音っぽくて好き
0:25 ここの文字夢にも見えるしザムザにも見えるの凄すぎる
3:02「光は1時の方角にある」でイラストでも1のところに光が当たってるの最高に好き
この曲がカフカの「変身」を参考にされてるのは目に見えた事実なんだろうけど、私にはどうしても「山月記」も入ってる気がしてならない 「走り出したらもう獣だ」とか 「月の真下をうろつきながら考えてた夜すがら」とかもろそれじゃん… 詩人になれず虎に変わり果てた李徴じゃん…
「当然あなたとまともにケンカもできなかった」のところまふゆ視点なんだろな〜エモい
この歌、カフカの「変身」だけじゃなくて中島敦の「山月記」っぽさもある気がするのは自分だけかな…
@零零-j2s